[ 画像圧縮・視覚特性 ]

注視点特定を目的とする画像の幾何構造に基づいた視線特性の解析

人間の注視点は画像評価・符号化に大きく影響するため、注視点の位置や頻度を特定することは視覚的な画像処理に必要である。

注視点特定を目的とする従来研究は、生理学や心理学による視覚特性に基づいて定義した特徴量を、画像情報からパターンマッチングする方法が主流である。 しかし、この方法による注視点は、実際に人間が画像を観測した際と異なることが多い。 そのため、正確な注視点特定には眼球運動測定実験の手間が画像毎に必要となる。
図1 注視点の重要性とその測定
図1 注視点の重要性とその測定

本研究では、画像情報のみから正確な注視点特定を目的として、画像観測における眼球運動の予測手法を提案する。 そこで、写真や絵画などで用いられる構図の観点を用いた画像解析を、実際に人間が画像を観測した際の視線移動に基づいて確立する。 図2 画像の構図と人間の視線の関係
図2 画像の構図と人間の視線の関係

    [発表]
  1. 山崎将幸, 亀田昌志, "静止画像における無意識的な視線移動の導出", 2004年画像符号化シンポジウム(PCSJ2004), P-2.05, pp.17-18, 2004.11.
  2. 山崎将幸, 亀田昌志, "画像のベクタ場による興味推移に基づいたsaccadeの導出", 電子情報通信学会, 信学技報, IE2004-177, pp.19-24, 2005.2.
  3. 山崎将幸, 亀田昌志, "画像のベクタ場による注視点解析を目的とした幾何構造に基づいた連続性の導出", 電子情報通信学会, 信学技報, IE2004-227, pp.25-30, 2005.3.
  4. 山崎将幸, 亀田昌志, "静止画像の構図に由来する注視解析", FIT2005(第4回情報科学技術フォーラム), J-008, pp.187-188, 2005.9.
  5. M.Yamazaki, M. kameda, "Analysis of eye-movement characteristics based on composition of still picture" The first Inter. Workshop on Image Media Quality and its Applications, P17, pp.141-146, 2005.10.
  6. 山崎将幸, 亀田昌志, "静止画像の輝度勾配に基づいた動的注視点の解析", 2005年画像符号化シンポジウム(PCSJ2005), P-2.01, pp.9-10, 2005.11.
  7. M.Yamazaki, M. kameda, "A new metrics for definition of gaze area from the geometrical structure of picture composition", IS&T/SPIE's Electronic Imaging Symposium on Human Vision and Electronic Imaging XI, 6057-06, 2006.1.
  8. 齋藤裕幸, 亀田昌志, "画像観測における重要な視線経路の導出", 第69回情報処理学会全国大会, 3P-8, 2007.3

自然画像における画像構成基本要素を用いた画像符号化に関する研究

コンピュータ上において、画像は小さな点(画素)の集合で表現される。 従来の画像符号化手法では画素に対して処理を行うものが主流だが、 本研究では画素が集まって形成する模様(パターン)が重要であると考え、 代表的なパターン(画像構成基本要素)を用いて画像を符号化する。

画像はそのパターンの特徴から、エッジ領域、フラット領域、グラデーション領域の3種類に分類することができる。 これらの領域の特徴を単純化したパターンを、画像構成基本要素とする。

図1. エッジ領域基本要素 図2. フラット領域基本要素 図3. グラデーション領域基本要素
図1. エッジ領域
基本要素
図2. フラット領域
基本要素
図3. グラデーション領域
基本要素

各領域を基本要素で置換することによって、画像の符号化を行う。

図4. エッジ領域 図5. フラット領域 図6. グラデーション領域 図7. 符号化結果
図4. エッジ領域
全体の7.02%
図5. フラット領域
全体の24.24%
図6. グラデーション領域
全体の62.91%
図7. 符号化結果
画質:33.32[dB]
情報量:1.49[bpp]

    [発表]
  1. 酒井リカ, 亀田昌志, 松田浩一, 土井章男, "自然画像における画像構成基本要素の抽出", 情報処理学会第65回全国大会講演論文集, 1R-5, 2003.3.
  2. 千葉繁生, 亀田昌志, "画像のベクトル量子化におけるエッジの基本要素の抽出", 電子情報通信学会2004年総合大会, D-11-7, 2004.3.
  3. 千葉繁生, 亀田昌志, "画像構成のための自然画像における基本要素の推定", 2004年画像符号化シンポジウム(PCSJ2004), P-5.06, pp.71-72, 2004.11.
  4. 千葉繁生, 亀田昌志, "画像構成基本要素に基づいた自然画像符号化手法についての研究", 電子情報通信学会, 信学技報, IE2004-229, pp.37-42, 2005.3.
  5. 千葉繁生, 亀田昌志, "画像の基本構成要素に基づいた予測符号化手法", 2005年画像符号化シンポジウム(PCSJ2005), P-2.02, pp.11-12, 2005.11.
  6. 千葉繁生, 亀田昌志, "画像構成基本要素に基づいた自然画像の予測符号化手法", 信学技報, IE2005-300, pp.79-84, 2006.2.
  7. 吉岡将人, 亀田昌志, "自然画像の符号化における画像に依存した基本要素の導出", 第69回情報処理学会全国大会, 2P-9, 2007.3

Wavelet変換符号化画像に発生するリンギング歪の除去に関する研究

現在、画像の静止画圧縮方式としてJPEGが主流になっている。 近年新しく制定されたJPEG2000は、JPEGよりも高画質・高圧縮が可能であり、次世代の画像圧縮方式として期待されている。 しかし、JPEG2000には符号化方式であるWavelet変換に起因して画像内のエッジ付近に擬似輪郭(リンギング歪)が発生してしまう。

原画像 リンギング歪
原画像 リンギング歪

本研究では、Wavelet変換符号化画像の画質改善を目的とし、画像に発生するリンギング歪の除去のために、リンギング歪の発生位置の特定を行っている。

分割段階での画像のヒストグラムは、量子化前に比べ量子化後の方が量子化レベルの値に画素が集中する。集中した部分を0に近いほうからA,B,C・・・グループとする。Aグループには平面やランダムノイズが、BやCグループにはエッジ成分やリンギング歪が多量に含まれていると考えられる。

原画像 Wavelet変換後 Wavelet変換後
原画像 ソーベルフィルタ抽出結果 本手法抽出結果

それぞれのグループに対し周囲の画素との関係も考慮しながらリンギング歪の特定を行ったところ、ある程度エッジ周辺の画素を捉える結果を得た。

    [発表]
  1. 歳弘麻子, 亀田昌志, "Wavelet変換画像に生じる符号化歪の基礎的検討", 電子情報通信学会2004年総合大会, D-11-12, 2004.3.
  2. 歳弘麻子, 亀田昌志, "画像のWavelet変換符号化において発生するリンギング歪の特定と解析", 2004年画像符号化シンポジウム(PCSJ2004), P-5.05, pp.69-70, 2004.11.
  3. 歳弘麻子, 亀田昌志, "Wavelet変換符号化画像に発生するリンギング歪の発生位置特定", 信学技報, IE2005-63, pp.19-24, 2005.10.

二次曲面による自然画像の曲面近似手法

本研究は、画像の幾何特性を利用したモデル化を実現することで、画像データの圧縮や、 自然な拡大・縮小など様々な処理に対応できるモデルを確立することを目的とする。 実現手法として画像の輝度値を高さとする画像曲面を関数表現可能な二次曲面で近似す ることを提案する。基礎検討として、二次曲面を分解して得られる曲線で画像の一次元 信号を近似し、提案手法の妥当性を確認する。

まず、画像1ラインの輝度値分布を小領域で区切ることにより、曲線の集合に分割するこ とができる。このような小領域における画像信号をニュートンの万有引力の法則に基づ いた2次式によって曲線近似し、画像を再構成する。

画像1ラインの輝度値分布 1ライン中の8画素
画像1ラインの輝度値分布 1ライン中の8画素

一般に画像信号は複雑で、2次曲線による近似が困難である。そこで、ラプラシ アンピラミッドに基づき、画像信号を周波数成分に分解する。分解された各 周波数成分の信号を曲線で近似することにより再構成画像の近似精度の向上を図っている。

低周波成分の近似 高周波成分の近似
低周波成分の近似 高周波成分の近似

原画像 直線近似 2次曲線近似
PSNR 29.0[dB] PSNR 35.4[dB]
原画像 直線近似 提案手法

    [発表]
  1. 宮越徹, 亀田昌志, 松田浩一, 土井章男, "2次曲面による自然画像の曲面近似手法の研究", 電子情報通信学会信学技報, ITS2002-60, IE2002-201(2003-02), pp. 103-108, 2003.2.
  2. 宮越徹, 亀田昌志, "2次曲線を用いた自然画像の符号化に関する研究", 2003年映像メディア処理シンポジウム(IMPS2003), I-5.08, pp.77-78, 2003.11.
  3. 宮越徹, 亀田昌志, "2次曲線による画像符号化方式における領域分割手法の検討", 電子情報通信学会 画像工学研究会, 2004.2.
  4. 宮越徹, 亀田昌志, "画像の幾何特性に基づいた構造的領域分割による符号化手法", 2004年画像符号化シンポジウム(PCSJ2004), P-2.06, pp.19-20, 2004.11.
  5. T.Miyakoshi, M.Kameda, "Image segmentation method using quadratic curved surface units based on geometrical characteristics", Picture Coding Symposium 2004, 2004.12.
  6. 宮越徹, 亀田昌志, "画像の構造的領域分割に基づいた解像度変換手法に関する研究", 電子情報通信学会, 信学技報, IE2004-194, pp.115-120, 2005.2.


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