[ 脳外科術前検討支援 ]

頭部MR画像からの脳領域抽出に関する研究

医療現場では,医師の熟練度によって,患者の頭部内部の状態(脳の立体的構造や機能局在)の理解力に差が出ます. そこで,本研究では,医師の熟練度に関係なく,同一の情報を共有するために, 以下の2つの研究に取り組んでいます.

図1 ヒトの頭部
図1 ヒトの頭部

図2-1 MR画像 図2-2 MR画像 図2-3 MR画像 図2-4 MR画像
図2 複数枚撮影されたMR画像

MR画像から脳の立体形状と機能局在を把握
図3 高精度脳領域抽出 図4 中心溝の自動検出

脳の表面には複数の溝(これを脳溝と呼ぶ)があり,その中でも「中心溝」(図4赤線)は,運動野と感覚野を区分する脳溝です

    [学術論文]
  1. 上野育子, 亀田昌志, 井上敬,小川彰, "3.0Tesla高解像度MR画像からの脳領域抽出", 電子情報通信学会論文誌D, vol.J-89-D, No.1, pp.107-120, 2006.1.
    [発表]
  1. 上野育子, 藤原俊朗, 松田浩一, 亀田昌志, 土井章男, 井上敬, 小川彰, "3次元領域拡張法を用いた脳MRI画像からの腫瘍領域抽出", 電子情報通信学会技術研究報告, MI2002-73, 2002.11.
  2. 上野育子, 藤原俊朗, 松田浩一, 亀田昌志, 土井章男, 井上敬, 小川彰, "領域拡張法を用いた頭部MRI画像からの脳領域抽出", 映像メディア処理シンポジウム, 2002.11.
  3. 上野育子, 亀田昌志, 松田浩一, 土井章男, 井上敬, 小川彰, "抽出範囲を限定したリージョングローイングによる頭部MRI画像からの脳領域抽出", 映像情報メディア学会技術報告, Vol. 27, No. 46, pp.13-16, 2003.7.
  4. 上野育子, 亀田昌志, 松田浩一, 土井章男, 井上敬, 小川彰, "頭部MR画像からの脳溝領域抽出", 2003年映像メディア処理シンポジウム(IMPS2003), I-2.05, pp.29-30, 2003.11.
  5. Ikuko Uwano, Masashi Kameda, Koichi Matsuda, Akio Doi, Takashi Inoue, Akira Ogawa, "Automatic Brain Segmentation from Head MRI Data using Region Growing Method with Restricted Processing Area", IASTED International Conference on Biomedical Engineering, 2004.2
  6. 上野育子, 亀田昌志, 井上敬, 西本英明, 小川彰, "脳回の位置を考慮した中心溝同定に関する検討", 第14回コンピュータ支援画像診断学会大会, 04(IV)-16, pp.315-316, 2004.12.
  7. 上野育子, 亀田昌志, 井上敬, 西本英明, 小川彰, "解剖学的構造を考慮した患者 脳データからの中心溝同定に関する研究", 信学技報, MI2005-24, pp.9-14, 2005.7.
  8. 上野育子, 亀田昌志, 西本英明, 井上敬, 小川彰, "CPR法を用いた中心溝同定に関する研究", 信学技報, MI2006-24, pp.25-30, 2006.5.
  9. 廣岡誠之, 上野育子, 亀田昌志, "患者のMR画像からの脳領域抽出", 第69回情報処理学会全国大会, 5B-2, 2007.3

MRA-MIP画像および3D-MRI断層画像の統合表示システム

本研究では,「フィルムは医師が診断を行う上で,最も重要な資料」である点に着目し, 「フィルムの表示法に付加価値を与える」というアプローチに基づく, MRI-断層画像とMRA-MIP(Maximum Intensity Projection:最大輝度投影法)画像の組合せに おける統合表示システムCOMPAS(Comparison System for Paired Medical Images)システムを開発した.

図1 COMPASシステム
図1 COMPASシステム

術前に脳腫瘍と血管の位置関係を把握するため,脳腫瘍はMRIの断層画像を用い,血管は MRAのMIP画像を用いて診断されることが多い.MRIは断面群であり,任意の位置の3次 元座標が直接得られるが,MIP画像は奥行き値を持たないため,MIP画像上で指定した位 置から3次元位置が正確に得られない場合がある.

図2 MRA-MIP画像 図3 MRI断層画像
図2 MRA-MIP画像 図3 MRI断層画像

提案システムでは,MIP画像上で血管をなぞり,血管走行を確認することができる. このとき,なぞり始めた血管の3次元の奥行き値の連続性を保証するアルゴリズムを実装している. 図4において,血管を1→2→3の順にたどったとき,異なった血管を選択すると,正確にMRI画像上 における位置を提示していることが分かる.

MRA-MIP画像 MRI断層画像
MRA-MIP画像からの入力 MRI断層画像上の抽出位置1 MRI断層画像上の抽出位置2 MRI断層画像上の抽出位置3
入力 抽出位置1 抽出位置2 抽出位置3
図4 MRA-MIP画像からの入力とMRI断層上における対応位置


MRI→MRA選択デモムービー(MPEG1, 5MB)
MRA→MRI選択デモムービー(MPEG1, 3MB)

    [発表]
  1. 高橋勤, 松田浩一, 井上敬, 小川彰, "脳神経外科術前検討に向けた異種医用画像の表示システム", 2006年映像情報メディア学会冬季大会, 2-8, 2006.12.
  2. 高橋勤, 松田浩一, 井上敬, 藤原俊朗, 西本英明, 小川彰, "MRA-MIP画像および3D-MRI断層画像の統合的表示システム", 第30回日本脳神経CI学会, O3-2, 2007.2.
    [第30回日本脳神経CI学会 優秀演題]

ペンベースによる患者情報共有のための脳神経外科術前検討支援システム

現状の脳神経外科(以下、脳外科)術前検討会において、医師らは短時間で大量の断層 画像を読影しながら、患者の概形や病巣周辺の状態を三次元的に想像し、議論を行って いる(図1)。そのため、脳外科医らには、断層画像から患者組織の様子を三次元的に 想像する能力が求められる。特に、手術を要する患者の場合、手術における危険性の低 減や患者の予後を良好なものとするために、頭部内病巣周辺の様子を事前に詳細まで把 握する必要がある。さらに、開頭位置検討時には、補助器具としてマネキンや正常脳模 型を利用しながら、患者における腫瘍や脳機能の位置関係に対してより具体的な予測を 行わなければならない(図2)。

図1 脳外科手術術前検討会 図2 マネキンによる切開位置検討
図1 脳外科手術術前検討会 図2 マネキンによる切開位置検討

しかし、従来の検討作業においては、(a)断層画像から患者三次元像を頭の中で再構築 する想像力の差(再構成力差)、(b)マネキンと患者頭部の形状差(患者個人差)、 (c)正常脳模型と病変により変位した患者脳との差(症例差)、などに起因する 「(経験や熟練度の差による)医師間における患者像の認識差」が生じる。そのため、 脳外科においても正確な患者三次元像把握のために、 CAD/CAS【コンピュータ支援診 断/コンピュータ(支援)外科】技術が必要とされているが、従来システムにおける ユーザインタフェースは、技術者の視点で作られていることが多い。

本研究では、上記のような現状を踏まえ、その検討作業に患者データを用いたペン入 力システムを導入することにより、検討作業を円滑にし、情報共有による検討の確実 性を向上させるシステムの提案および評価を行った(図3, 4)。

図3 脳溝マーキング 図4 任意断面表示システム
図3 脳溝マーキング 図4 任意断面表示システム


デモムービー(MPEG1, 11MB), 低ビットレート版(2.7MB)

    [学術論文]
  1. 藤原俊朗, 松田浩一, 亀田昌志, 井上敬, 小川彰, "脳神経外科術前検討システムのための高速なボリューム編集手法", 日本コンピュータ外科学会論文誌, Vol. 7, No. 1, pp. 33-41, 2005.8.
    [発表]
  1. 藤原俊朗, 松田浩一, 亀田昌志, 井上敬, 小川彰, "脳神経外科術前検討システムのための高速なボリューム編集手法", 日本コンピュータ外科学会論文誌, Vol. 7, No. 1, pp. 33-41, 2005.8.
  2. 藤原俊朗, 松田浩一, 亀田昌志, 井上敬, 土井章男, 小川彰, "脳外科術前検討支援システムにおける対話的な脳溝線マーキングと頭部ボリューム切除機能", 3次元画像コンファレンス2004, 2004.6.
  3. 藤原俊朗, 松田浩一, 亀田昌志, 井上敬, 小川彰, "脳神経外科術前検討支援システムのための手描き入力による連動可能なインタフェースの提案", 第14回コンピュータ支援画像診断学会大会, 04(IV)-14, pp.311-312, 2004.12.
  4. 藤原 俊朗, 松田 浩一, 亀田 昌志, 井上 敬, 小川 彰, "患者三次元表示と断層画像の連動編集インタフェース", 情報処理学会インタラクション2005, D-407(ポスター発表), 2005.2.
  5. 藤原俊朗, 松田浩一, 亀田昌志, 井上敬, 小川彰, "3次元編集を利用した手術アプローチ検討システム", 第29回北日本脳神経外科連合会学術集会, 2005.5.
  6. 藤原俊朗, 井上敬, 別府高明, 松田浩一, 亀田昌志, 小笠原邦昭, 神原芳行, 小川彰, "3D・2Dリアルタイム編集可能な術前検討システムの脳腫瘍症例に対する有用性", 第33回日本磁気共鳴医学会大会, 2005.9.
  7. 藤原俊朗, 井上敬, 別府高明, 松田浩一, 亀田昌志, 小川彰, "術前検討システムの臨床応用に関する研究", 第64回日本脳神経外科学会総会, 2005.10.
  8. 藤原俊朗, 井上敬, 松田浩一, 亀田昌志, 別府高明, 荒井啓史, 笹生昌之, 神原芳行, 小笠原邦昭, 小川彰, "脳神経外科術前検討システムの脳腫瘍症例に対する有用性評価 -Synchronous Editable Interface-", 第14回日本コンピュータ外科学会大会, 2005.11.
  9. 藤原俊朗, 井上敬, 松田浩一, 亀田昌志, 別府高明, 荒井啓史, 笹生昌之, 神原芳行, 小笠原邦昭, 小川彰, "3D・2D連動編集インタフェースSEIの臨床的有用性評価", 第1回複合医工学シンポジウム, 2006.5.
  10. 藤原俊朗, 井上敬, 松田浩一, 亀田昌志, 西本英明, 別府高明, 荒井啓史, 笹生昌之, 松村豊, 神原芳行, 小笠原邦昭, 小川彰 "開頭範囲検討支援に向けた3D・2D 連動編集インタフェースの評価", 第30回日本脳神経CI学会総会, 2007.2.


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