本研究では、脳内における腫瘍の位置関係把握に役立てるため、頭部MR画像から脳と
脳腫瘍領域を抽出し、分かりやすく表示することを目的としている。
リージョングローイング法には、抽出漏れや非抽出対象領域への侵入が多いという
問題点があるため、本研究では、隣接スライスからの情報を基に抽出処理範囲を限定
することにより、抽出精度の向上を図っている。
さらに精度を向上させるため、エッジ抽出、スライス間の類似度による処理範囲の動的
変更、双方向リージョングローイング法などを提案している。
以下に、頭部MR画像(512x512x248枚)から脳領域を指定して適用した例を示す。
水色で示されている部分が脳領域、また、赤で示されている部分は、腫瘍を
指定して抽出した結果であり、それらを重ね合わせて表示している。
3次元表示結果
[論文・発表等]
- 上野育子, 藤原俊朗, 松田浩一, 亀田昌志, 土井章男, 井上敬, 小川彰,
"3次元領域拡張法を用いた脳MRI画像からの腫瘍領域抽出",
電子情報通信学会技術研究報告, MI2002-73, 2002.11.
- 上野育子, 藤原俊朗, 松田浩一, 亀田昌志, 土井章男, 井上敬, 小川彰,
"領域拡張法を用いた頭部MRI画像からの脳領域抽出",
映像メディア処理シンポジウム, 2002.11.
- 上野育子, 亀田昌志, 松田浩一, 土井章男, 井上敬, 小川彰,
"抽出範囲を限定したリージョングローイングによる頭部MRI画像からの脳領域抽出",
映像情報メディア学会技術報告, Vol. 27, No. 46, pp.13-16, 2003.7.
- 上野育子, 亀田昌志, 松田浩一, 土井章男, 井上敬, 小川彰,
"頭部MR画像からの脳溝領域抽出",
2003年映像メディア処理シンポジウム(IMPS2003), I-2.05, pp.29-30, 2003.11.
- Ikuko Uwano, Masashi Kameda, Koichi Matsuda, Akio Doi, Takashi Inoue, Akira Ogawa,
"Automatic Brain Segmentation from Head MRI Data using Region Growing Method with Restricted Processing Area",
IASTED International Conference on Biomedical Engineering, 2004.2
- 佐藤徳容, 土井章男, 伊藤史人,
"領域拡張法による対話型セグメンテーションシステムの開発と応用",
第66回情報処理学会全国大会, 3Z-2, 2004.3.
- 上野育子, 亀田昌志, 井上敬, 西本英明, 小川彰,
"脳回の位置を考慮した中心溝同定に関する検討",
第14回コンピュータ支援画像診断学会大会, 04(IV)-16, pp.315-316, 2004.12.
本研究は、術前計画や若手医師育成支援を目的とした脳外科手術シミュレーション実現
のために必要である、脳腫瘍モデルをMR画像から構築することを目的とする.前提とな
るシミュレーションが有限要素法(FEM)であることから,脳腫瘍モデルは有限要素メッ
シュと呼ばれる構造をもつ必要がある.
従来手法(3D Active Grid)では、六面体形状を徐々に収縮させ、画像内の対象領域の
形状を取得するするが、球に近い分布をもつ脳腫瘍の形状抽出は困難であった.
本研究では球形状を抽出に用いた脳腫瘍モデルの構築手法(3D Active Sphere)を提案する.
|
|
3D Active Grid | 3D Active Sphere |
以下に、頭部MR画像から脳腫瘍領域を指定して適用した例を示す。
球として置かれたActive Sphereが腫瘍を覆うように収束していく様子が示されている。
また、位置関係を把握するため、頭部MR画像の等値面画像とも組み合わせて表示している。
適用例.表の「回」は反復計算回数を示す.
[論文・発表等]
- 藤原俊朗, 松田浩一, 亀田昌志, 土井章男,
"3次元幾何モデルを用いたエネルギー最小化原理に基づく自動形状抽出とその応用",
画像電子学会, 第32号, 3巻, pp. 224-231, 2003.3.
- A. Doi, S. Fujiwara, K. Matsuda, M. Kameda,
"3D Volume Extraction and Mesh Generation Using Energy Minimization Techniques",
Proc. of 1st International Symposium on 3D Data Processing Visualization and Transmission (3DPVT2002),
Padova, Italy, pp. 83-86, 2002.
- Shunrou Fujiwara, Ikuko Uwano, Koichi Matsuda, Masashi Kameda, Akio Doi, Takashi Inoue, Akira Ogawa,
"Construction of the three-dimensions brain tumor Model for the operative treatment simulation by 3-D Active Sphere",
SPIE International Symposium Medical Imaging 2003, 2003.2.
- 藤原俊朗, 松田浩一, 亀田昌志, 土井章男,
"3D Active Cylinderを用いた3次元形状モデルの自動抽出",
情報処理学会研究報告, 2002-CG-107, p.13-18 , 2002.4.
- 藤原俊朗, 土井章男, 松田浩一, 亀田昌志,
"3次元幾何モデルを用いたエネルギー最小化原理に基づく自動形状抽出",
映像情報メディア学会技術報告, Vol.27, No.10, pp.29-32, 2003.2.