[ 油彩画の3次元保存・鑑賞 ]

VIVID700 を用いた油彩画の3次元形状表現に関する基礎的検討

油彩画は絵具を盛り上げる、塗り重ねる、ペイントナイフで切り込みを入れるといった立体的な絵画表現が可能である。 一方、コンピュータ上で油彩画を再現する手法は2次元のディジタル画像にとどまっており、 油彩画の特徴である絵具の盛り上がりや塗り重ねによる厚み、 切り込みによる深い溝やそれに伴う陰影効果といった立体的な表現を再現し、 鑑賞することは不可能である。

そこで本研究では、油彩画の立体形状を非接触式三次元デジタイザ「VIVID700」(図1)により測定する。 測定して得られた油彩画の立体形状に対し、3DCGの技術を応用することで、油彩画の特徴をコンピュータ上で再現し、 鑑賞可能にする事を目的とする。

図1 非接触式三次元デジタイザ「VIVID700」 図2 VIVID700で得られた立体形状
図1 非接触式三次元デジタイザ
「VIVID700」
図2 VIVID700で得られた立体形状

現在は、油彩画の特徴であるオーバーハング(絵具の盛り上がり部分)をVIVID700で測定した際にVIVID700特有の誤差が発生するため、 この誤差を定量化し、補正することで正しいデータを得る事を目標としている。

図3 VIVIDによる測定で発生する誤差 図4 より正確な測定器で得られた形状
図3 VIVIDによる測定で発生する誤差 図4 より正確な測定器で得られた形状

図5 グラフによる比較
図5 グラフによる比較

図4に示したデータの測定に用いたのは,接触式三次元デジタイザ「PICZA」という装置である。 「PICZA」は針を測定対象物に当てて形状を測定する事から油彩画を傷つけてしまうため,実験データを得る目的にのみ利用している。

    [発表]
  1. 菊池利公, 亀田昌志, 松田浩一, 土井章男, 金藤完三郎, "VIVID700を用いた油彩画の3次元形状表現に関する基礎的研究", 第66回情報処理学会全国大会, 3N-3, 2004.3. [第66回情報処理学会全国大会 学生奨励賞]
  2. 及川進, 亀田昌志, "鑑賞を目的とした油彩画の3次元ディジタルアーカイブ手法", 2006年映像メディア処理シンポジウム(IMPS2006), I-4.18, pp.93-94, 2006.11.
  3. 及川進, 亀田昌志, "油彩画の3次元保存・鑑賞システムの構築と評価", 信学技報, IE2006-241, pp.77-82, 2007.2.
  4. 佐藤圭介, 及川進, 亀田昌志, "3次元油彩画におけるテクスチャ情報の編集による立体感の表現", 第69回情報処理学会全国大会, 2X-6, 2007.3


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