[ 3次元形状計測と復元 ] |
油彩画の表面には、絵具の塗り重ね、筆やナイフによって形成される凹凸があるため、
2次元のディジタル画像だけでは再現が困難な陰影効果や光沢など、油彩画独特の特徴が存在する。
本研究では、油彩画特有の凹凸を3次元ディジタルデータとしてCG (コンピュータグラフィックス)
によって表現し、油彩画独特の特徴まで「鑑賞」可能とすることを目的とする。
油彩画の凹凸形状を測るために,MINOLTA (現KONICA MINOLTA )製の非接触3次元デジタイザVIVID700を用いている。
油絵 | 3次元形状 |
原画では,ナイフ描画によってオーバーハング(絵具によって生成される盛り上がり)が形成さ
れるが,VIVID700で取得した3次元形状とVIVID700 以上の精度をもつ接触式測定器(Taylor-Hobson Form
Talysurf-120L )を用いた結果を比較したところ、オーバーハングの再現精度が低いことが判明した。
形状評価の結果をもとに,VIVID700 で得られ た3 次元形状におけるオーバーハング領域への形 状補正を行い、視覚による主観評価を行ったところ、VIVID700 で測定したデータに対し、 補正した形状がより原画に近いという印象であるとの結果を得た。
実験対象位置 | |
形状補正前 | 形状補正後 |
体型に適合した靴や衣服の製作は、熟練者のメジャー計測で行っている。 靴の場合、その計測ポイントは、足長、足囲などの1次元データが主体であるが、 より適合した靴・衣服を製作するには、形状を3次元的に把握・設計することが重要である。 現在、被測定者に負担とならないような非接触での3次元計測が求められており、 レーザを用いた市販の3次元計測器は高価であり、手軽に計測できない現状にあった。 そこで本研究では、人体形状計測の簡易化を目指し、低価格の非接触3次元計測器を開発す ることを目的とした。
足などの部位全体を一度に計測すると、センサーの個数が増え装置が高価格となる。
そこで、低価格のディジタルカメラを対象物の周りに配置し、網タイツなどの格子
模様から、ステレオマッチングにより格子点の3次元座標値を求めるシステムを開発した。
人体形状は、水分含有量による体内変動や体調の状態によってその寸法は変化するため、
厳密な寸法計測は困難である。例えば足計測の場合、1mm以内が誤差範囲とされている。
実験装置 | 3次元化処理 |
網タイツを被せた石膏の足を8方向からディジタルカメラで撮影し、各方向の画像 から得られた格子点の3次元座標を基に3次元化した結果を示す。
3次元復元結果(1) | 3次元復元結果(2) | 3次元復元結果(3) |
項目 | 誤差平均 | 標準偏差 | 装置価格 |
市販計測器 | 0.588[mm] | 0.370 | 約100万円以上〜数百万円 |
提案手法 | 0.597[mm] | 0.224 | 約50万円 |